不動産売却の知識
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マンション売却のポイント

不動産売却のポイント

マンション売却のポイント

マンションを売却する理由は、住み替え、相続、転勤など様々です。大切な資産を売却するのであれば、やはりできるだけ高値でスムーズに売却したいですよね。そこで今回は、不動産の売却を初めて行う方でも不安なく売却が進められるように、マンションの売却を成功させるための重要ポイントを5つご紹介いたします。

目次

マンション売却を成功させるための5つのポイント

マンション売却のポイント

不動産は非常に高額な買い物のため、一生のうちに何度も売買を経験することはあまりないでしょう。
そのため、現在住んでいるマンションからの住み替えを検討していたり、相続したマンションを売却したいと思っていても、初めてことで何から始めてよいかわからなかったり、ちゃんと売れるのかどうか不安を感じたりする方も多いかと思います。そのような方のために、今回はマンションを売却する際に重要になるポイントを5つご紹介します。マンションの売却を成功させるためにも、この5つのポイントはしっかり押さえておきましょう。次の項からは、以下5点のポイントについて詳しくご説明していきます。

1. 売却の流れを把握する

売却を検討しているのであれば、まずはどのような流れで売却が進むのか事前に理解しておくことが大切です。どの段階で何をすべきか、どのような書類が必要になるかが明確になるため、売却をスムーズに進めることができます。

2. 売却で必要になる費用や税金などを確認しておく

不動産を売却する際には、様々な費用や税金が必要になります。いくらで売却できそうか、だけではなく、どのタイミングでどれくらいのお金が必要になるか、という出費の部分も事前に確認しておきましょう。また、ローンを返済中であればローンの残債を確認しておくことも大切です。

3. 売却ケース別に見る、事前準備の注意点

不動産を売却するにあたって、事前にすべきことはたくさんあります。例えば、相場を調べたり、査定を依頼したり、必要書類を準備したり、ということは売却を検討しているのであれば必ず行うことになります。しかし、事前準備をする際に注意しておきたいポイントは、売却ケースごとに違ってきます。事前準備でもたついたために売却計画に遅れが出て売り急いでしまった、なんてことにならないよう、不動産を売却することになった段階ですぐに準備に取りかかりましょう。

4. 買い手の視点も意識する

不動産取引というのは、売主と買主の双方がいて成り立ちます。そのため、売却を成功させるためには、買い手の立場になって売買について考えることも大切です。売却活動には主体的に参加し、購入希望者に接する機会があれば好印象を持ってもらうように心がけ、お互いに気持ちの良い取引ができるように行動しましょう。

5. 不動産会社の選択

不動産取引についての知識をつけることも大切ですが、不動産売却の成否は不動産会社選びにかかっていると言えます。不動産会社にはそれぞれ得意分野があり、実績や経験、対応力などにも差があります。また、会社の規模も大手から地域密着型の地元の不動産会社まで様々です。数ある不動産会社から信頼できる不動産会社を選ぶ際は、一括査定を利用して複数の不動産会社と接してみることをおすすめします。不動産売却の成功の鍵を握る不動産選びは慎重に行いましょう。

ポイント1 マンション売却の流れ

ポイント1マンション売却の流れ

マンションの売却を検討しているならば、まずは売却の流れを把握しておきましょう。マンションの売却には、一般的に3〜6ヶ月程度かかると言われています。また、マンションの売却には多くの段階があり、各段階ですべきことや準備するものがあります。そのため、初めに売却の流れを把握して、しっかりとした売却計画を立てておきましょう。特に、売却期日があったり住み替えのための売却だったりすると、スケジュール管理がより重要になってきます。スケジュールの管理を怠ると、後々値下げしなければいけない状況になったり余分な費用が発生したりして、満足のいく売却ができなくなる可能性があります。売却を考え始めたら、まずは全体的な流れを頭に入れて、それから準備に取り掛かりましょう。

売却の準備段階から実際に物件を引き渡すまでは、以下のような流れで進みます。

売却準備〜1. 相場の調査
2. 必要書類の準備
3. 査定の依頼
4. 不動産会社と媒介契約を締結
売却活動〜5. 売り出し価格の決定
6. 内覧受け入れ
7. 購入希望者との価格・条件交渉
売買契約締結〜8. 売買契約の締結と物件の引渡し
9. 確定申告

次に、各段階において重要になるポイントをご紹介します。

<売却準備>

より良い条件での売却を実現させるためには、情報収集と事前準備が非常に大切です。

1. 相場の把握

まずは、同じエリアにある類似した条件を持つマンションの売り出し価格や相場を調べてみましょう。自分のマンションがどれくらいの価格で売れそうか予測するのに役立ちます。国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営している不動産取引情報検索サイト「レインズマーケットインフォメーション」では、直近1年間に取引された物件の成約価格などの取引情報を閲覧できます。また、国土交通省が運営する「土地総合システム」というサイト上にも不動産の取引情報を検索できる機能がありますので、こちらでも相場を確認することができます。このようなサイトを利用して不動産会社に相談をする前に相場を調べておけば、不動産会社から査定額を提示された際に色々と質問することができ、より適切な売り出し価格を見極めることができます。

*参考サイト*
・レインズマーケットインフォメーション
http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do

・土地総合システム
https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

2. 必要書類の準備

不動産を売却する際には、様々な書類が必要になります。例えば、身分証明書、印鑑、印鑑証明書、登記済権利証もしくは登記識別情報、固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書、住宅ローン返還表などは必須になります。それから、購入した時の売買契約書や、マンションの管理規約や使用細則、マンションの維持費に関する書類、重要事項に係る調査報告書なども準備しておきましょう。紛失してしまっている書類があっても代わりの書類や証明書を用意することができますが、取得に時間がかかる場合があるため、できる限り早い段階から準備し始めることをおすすめします。また、必須書類ではありませんが、例えば耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書などがあれば一緒に準備しておきましょう。買い手にとっては、購入を検討する上でプラスの要素になります。

3. 査定依頼

相場が把握できたら、次は実際に不動産会社に査定をしてもらいます。ポイントは、複数の不動産会社に査定をお願いするということです。査定を依頼する際は、オンラインで依頼できる一括査定をおすすめします。売却したい不動産の情報を入力するだけで、一度に複数の不動産会社に査定を依頼できます。

各不動産会社から査定価格が提示されたら、自分で調べた相場と査定価格に大きな差がないか、どうしてその査定価格になったのかきちんと根拠を示してくれているか、などを確認しましょう。もし気になる点があれば、不動産会社に質問してみてください。一括査定を通して信頼できそうな不動産会社が数社に絞れたら、次は実際に物件を見てもらう訪問査定を受けて、より精度の高い査定を出してもらいましょう。同時に、不動産会社が提供しているサービスや実績、担当者の対応や人柄などもチェックしてきましょう。

4. 不動産会社との媒介契約の締結

訪問査定で提示された査定額や、不動産会社の提供しているサービス、売買実績、担当者の対応などから、売却のパートナーとして最適な不動産会社を選択します。媒介契約には大きく分けて3種類あります。どのような形の仲介をお願いしたいのかをはっきりさせて、最適な契約形態を選択しましょう。

契約形態一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
契約有効期間原則なし
(行政の指導では3か月以内)
3か月以内3か月以内
売主が自ら見つけた買主との売買契約できるできるできない
他社への同時依頼できるできないできない
売主への活動状況の報告なし2週間に1回以上1週間に1回以上
レインズ(不動産業界全体でシェアしているデータベース)への登録義務なし媒介契約締結後7日以内に登録。
登録後、登録済み証を交付。
媒介契約締結後5日以内に登録。
登録後、登録済み証を交付。

<売却活動>

媒介契約を結んだら、次は実際に物件を売り出す段階に進みます。基本的には不動産会社主体で売却活動を進めていくことになりますが、より良い条件での売却を望むのであれば、積極的に売却活動に関わっていく姿勢が大切です。

5. 売り出し価格の決定

自分の希望する額や査定額、周辺の相場などを考慮した上で慎重に決定しましょう。売り出し価格は、その後の売却活動に大きな影響を与える非常に重要な要素になります。売却の際には、ほとんどの場合値下げ交渉が入るため、値下げ交渉があることを前提にした価格に設定しておくことをおすすめします。

6. 内覧受け入れ

売り出し価格が決まったら、いつでも購入希望者の内覧を受け入れられるように準備をしておきます。購入希望者にとって、内覧で得られる住宅の印象は、その物件を購入するかどうかの決定に大きな影響を与えます。住み替えのための売却であれば、居住中の室内を案内することになります。掃除や整理整頓は必ず行い、少しでも良い印象を持ってもらえるように努めましょう。水回りやクローゼットの中、ベランダなども見られますので、日頃からきれいにしておきましょう。また、内覧時に物件のアピールポイントや周辺情報なども伝えられるように、事前に整理しておきましょう。

7. 購入希望者との価格・条件交渉

購入希望者があらわれたら、不動産会社を通して、購入に関する希望条件が記載された購入申込書(買付証明書)が届きます。そこには、購入希望価格や手付金、引き渡し希望日、融資利用の有無などが書かれています。売主として、購入希望者の希望する価格や条件が受け入れられるものか、それとも譲れないところがあるのか、しっかりと検討しましょう。細かな条件は、売主と購入希望者の双方が納得できるよう調整していきます。

<売買契約締結>

購入希望者との間で売却価格と条件が合意に至れば、次は売買契約の締結する段階に進みます。不動産の売買では大きな金額が動くため、売買契約の締結には大きな責任が伴います。後々トラブルに巻き込まれないよう、契約内容は事前にしっかり確認し、疑問点がないようにしておきましょう。

8. 売買契約の締結と物件の引き渡し

購入希望者との細かい条件の調整が終われば、双方が納得した上で売買契約を結びます。契約がスムーズに結べるよう、売買契約締結時に必要な書類や費用は前もって準備しておきましょう。契約の締結後は、引っ越し、ローン残債がある場合は一括返済と抵当権の抹消手続き、決済、物件の引き渡し、所有権の移転登記などの手続きを経て取引の完了となります。マンション売却の場合は、マンションの管理組合へ「組合員資格喪失届」を提出して組合員から脱退する手続きを取る必要もあります。所有権を移転したタイミングで行うようにしましょう。

【注意】

もしも買主が住宅ローンを利用して物件を購入する予定であったにもかかわらずローンの審査に通らなかった場合、契約書に住宅ローン特約が定められていて、さらにその特約が適用できる期間内であれば、契約は無条件解除となります。その場合、売主は買主から受け取った手付金を変換しないといけません。また、不動産会社に支払っていた仲介手数料は返還されます。

9. 確定申告

売却によって利益が得た場合、その利益は所得としてみなされるため、給与や事業所得とは分けて確定申告を行い税金を納める義務があります。売却したのがマイホームであれば、売却益の有無にかかわらず適用要件を満たせば受けられる特約や控除などがあるため、上手に活用して節税対策を行いましょう。ただし、このような特例や控除は確定申告をしないと適用を受けることができませんので、特に売却で損失が出た場合には確定申告を忘れずに行いましょう。

ポイント2 売却にまつわるお金

ポイント2売却にまつわるお金

マンションを売却するには、様々な費用や税金がかかります。あらかじめ、どの段階でどれくらいの費用・税金が必要になりそうか把握しておけば、支払い時に焦ってしまうことはないでしょう。住宅ローンが残っている場合は、ローン残債や注意事項も確認しておきましょう。

<売却にかかる費用と税金>

売却にかかる費用と税金は支払うタイミングがそれぞれ異なるため、いつまでにどのくらいの額を用意しておけばよいか事前に把握しておきましょう。売却にかかる主な費用と税金は以下の通りです。

費用項目目安支払いのタイミング
仲介手数料上限:(売却額×3%)+6万円
※売却金額が400万円を超える場合。
売買契約時~引き渡し時
登記費用・司法書士報酬抵当権抹消登記・所有権移転登記などにかかる費用。
司法書士へ依頼するなら1万円から3万円程度。
決済時
住宅ローンの繰り上げ返済手数料ローンが残っている場合は一括返済をする必要があり、その際に手数料がかかる。
金融機関や返済手段によって異なる。
目安は5,000円から3万円。
決済時
その他費用引っ越し費用、ハウスクリーニング費用、ホームインスペクション費用など。
業者、項目によって変動。
項目により変動
税金項目目安支払いのタイミング
印紙税400円〜60万円(軽減税率の場合は200円〜48万円)
※売却金額によって異なる。
売買契約時
登録免許税不動産1個につき1,000円
※住所変更登記・氏名変更登記、抵当権抹消登記の場合。
決済時
譲渡所得税
(所得税、住民税、復興特別所得税)
売却益が出た場合に課せられる所得税と住民税。
売却した年の1月1日時点での保有期間が5年以下なら譲渡所得の39.63%、5年超なら譲渡所得の20.315%。
売却した翌年の確定申告時

<譲渡所得税の税率と特例>

譲渡所得税は、マンションを売却して利益が出た場合に課せられる税金です。マンションを購入した際にかかった費用と売却した際にかかった費用を足した金額よりも売却価格が上回った場合、譲渡所得税を納めなければなりません。譲渡所得税は、物件の所有期間によって税率が大きく変化します。売却した年の1月1日時点での所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」、5年を超えているのであれば「長期譲渡所得」が適用されます。なお、所有期間が10年を超える際は、一定の要件を満たせば軽減税率の特例が適用される場合があります。

所有期間所得税復興特別所得税
(所得税の2.1%)
※2037年(令和19年)まで
住民税合計
5年以下
(短期譲渡所得)
30%0.63%9%39.63%
5年超10年以下
(長期譲渡所得)
15%0.315%5%20.315%
10年超
(軽減税率の特例)
6000万円以下の部分:10.21%
6000万円以下:0.21%
4%
14.21%
6000万円以上:0.315%6000万円以上の部分:5.315%5%20.315%

売却するのが居住用財産、つまりマイホームやセカンドハウスであれば、譲渡所得から3,000万円を控除できる「3,000万円特別控除」の適用が受けられる場合があります。他にも、マイホームを買い換えた時に活用できる場合がある「買い換え特例」などもあります。売却益が出そうな場合は、活用できる特例がないか、適用要件を満たせているかどうかなど事前に確認しておきましょう。

<住宅ローンの残債>

住宅ローンの残債があっても、マンションを売却することができます。ただし、引き渡しの前に住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する手続きを取る必要があります。抵当権とは、住宅ローンを組んで不動産を購入する際、金融機関がその不動産を担保にする権利のことです。この抵当権を引き渡し前に抹消しておかないと物件を引き渡すことができなくなり、契約解除となってしまいます。

住宅ローンの返済が終わっていない場合、通常は売却代金でローンを完済し引き渡しとなるわけですが、売却代金ではローンが完済できないケースもあるでしょう。住み替えの場合は、住み替えローン(買い替えローン)を利用することで、新居購入費に自宅のローン残債の金額を上乗せした金額を借り入れることも可能です。ただし、その場合は月々の返済額が増えるため、普段の生活に影響を及ぼすことにもなりかねません。このような事態を避けるためには、所有するマンションがどれくらいで売却できそうか査定額や相場から予測しておくこと、それから事前にローン残債を確認しておくことが重要です。そうすることで、住み替えにかけられるおおよその予算を把握でき、無理のない住み替えを実現することができます。

ポイント3 売却ケース別に見る、事前準備の注意点

マンションを売却する理由は、売主によって色々とあるでしょう。ここでは、売却の理由として多い「住み替え」や「相続」による売却ケース、それから「賃貸物件として貸し出していた投資用マンション」や「共有名義のマンション」を売却するケースを例に挙げ、売却を準備をする上で注意しておくべき点をご紹介します。

<住み替えの場合>

ライフスタイルやライフプラン、家族構成などの変化に伴い、現在居住中のマンションを売却してより理想的な物件への住み替えを検討する人は多いようです。住み替えの場合、自宅の売却と新居の購入の両方を行うことになりますので、売却と購入のどちらを先行させるかによって住み替えのプロセスが変わってきます。売却先行と購入先行のそれぞれのメリット、デメリットを考慮した上で、どちらを先に行うべきか事前にしっかり検討しましょう。

●売却先行の場合
売却に期限がなければ売り急ぐ必要がないため、より希望に近い価格で売却できる可能性があります。また、売却代金を新居購入費に充てることができます。ただし、新居購入のタイミングによっては、売買契約を結んで物件を引き渡した後から新居に移るまでの間に仮住まいをする必要があるかもしれません。

●購入先行の場合
ゆっくり時間をかけて新居を探すことができますが、売却代金を購入費に充てることができないため、ある程度の購入資金を自分で用意しておく必要があります。また、購入先行の住み替えの場合は、購入した住宅のローンと自宅のローンを二重に支払わなければならないダブルローン期間が発生する可能性があります。さらに、そのダブルローン状態を早く終わらせるためだったり、もしくは売却期限があったりして、自宅を売り急いでしまうこともあるかもしれません。

●売却と購入を同時に進める場合
最も理想的な住み替えパターンは、売却と購入を同時に行うというものです。仮住まいをする必要も、ダブルローンになることもありません。ただし、自宅を引き渡す日と新居に入居する日を合わせるというのは非常に難しいため、実際には売却もしくは購入を先行させる場合がほとんどです。

<相続したマンションの場合>

相続したマンションを売却する場合は、相続による所有権登記(相続登記)がきちんと行われているかどうか必ず確認しましょう。マンションの名義が被相続人のままだと、マンションの所有権を買い手に移すことができません。なぜなら、不動産を売却できるのは登記上の名義人だけだからです。

相続税についてもよく確認しておきましょう。相続発生前にマンションを売却して現金を相続するのと、相続してからマンションを売却するのでは、後者の方が税金を低く抑えられます。また、不動産を売却して売却益が発生した場合に課せられる譲渡所得税の額も、相続してから売却した場合で売却時期が相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月)の翌日から3年以内であれば、低く抑えることができます。

<賃貸マンションの場合>

投資用として運用している賃貸マンションや、空き家になったため人に貸し出しているマンションを売却する際は、入居者に立ち退いてもらってから売却する方法と、賃貸中のまま売却する方法(オーナーチェンジ)があります。入居者に立退をお願いする場合は、一般的には立退料や引っ越し料などを支払って交渉するため費用がかかります。また、立退や引っ越しには時間もかかります。一方、オーナーチェンジの場合は、収益物件としての利回りの評価が重要になります。どちらの方法が良いかは、不動産会社と相談しながら決定しましょう。

<共有名義のマンションの場合>

マンションの所有者が複数いる場合、そのマンションを売却するには所有者全員の同意が必要になります。共有者全員が売却に賛成であれば、通常のマンションの売却のように進めることができます。ただし、売買契約や引き渡しに関する書類など、売却に関わる全ての書類に名義人全員の署名と捺印が必要になります。遠方に住んでいるために立ち合いが難しい共有名義人がいる場合は、あらかじめ委任状をもらっておきましょう。委任状の形式は自由ですが、後々揉めることがないよう、委任する権限の範囲を記載してもらうようにしましょう。もしくは、自身の持ち分のみを売却することも可能です。その場合も通常の売却と流れは同じです。共有持分を売却する際は、他の共有者に売却する旨を事前に通知しておきましょう。

ポイント4 買い手の立場になって考える

ポイント4買い手の立場になって考える

不動産の売買は、売主と買主が揃って初めて成立します。不動産の売買は高額な取引となるため、買い手は数ある売り出し物件を慎重に見極めて最適な物件を選びます。数多くある物件の中から自分の所有する物件を買ってもらうためには、買い手の立場になって考えることも大切です。買い手の視点を意識しながら不動産売買について考えることで、より効率的に売却活動を行うことができ、またより多くの買い手の興味を引くことも可能でしょう。

<ターゲットの設定>

まずは、売却しようとしているマンションが、どのような買い手にとって魅力的に映るのか考えてみましょう。例えば、マンションが駅近物件であれば、共働きの夫婦、すでに子供が自立している老夫婦、シングルなどがターゲットになり得るでしょう。一方、マンションの周辺に学校や公園などの設備が充実しているのであれば、子供のいるファミリー向けと言えるでしょう。このように、物件の立地や間取りによって、どのような客層向けに物件を売り込むべきかが変わってきます。的確なターゲット設定ができれば、そのターゲットに響く内容を広告に掲載することができるので、より多くの購入希望者を集められる可能性があります。

<アピールポイントの整理>

物件のアピールポイントを明確にしておくことも大切です。そうすることで、広告に掲載すべき内容がクリアになります。内覧時にも、物件の所有者だからこそ知っている魅力を購入希望者に伝えられます。周辺環境や周辺施設などの情報は、その土地をよく知らない買い手にとっては非常に役に立つ情報です。さらに、大規模なマンションであれば共有施設や共有スペースなどもプラスの要素となるでしょう。マンションの構造が耐震・免震構造であれば、それも購入を判断する上での重要な要素の1つとなるでしょう。

<広告>

広告には、インターネットでの掲載や不動産会社の店舗での案内、新聞広告や折り込みチラシ、看板の設置など色々と種類があります。ターゲットによってどのように物件を宣伝するかも多少違ってくるでしょう。パソコンやスマートフォンが普及している現代では、全世代を通してインターネットで不動産を探す人が非常に多いため、インターネットでの情報発信は特に重要でしょう。物件によっては、パソコンやスマートフォンなどを使い慣れていないシニア層をターゲットとするものもあれば、特定の地域に住む人をターゲットにするものもあるでしょう。そのような場合は、住宅情報誌や新聞の折り込みチラシ、ポスティングなどが有効なケースもあります。

また、広告に掲載する室内写真は購入希望者の購入意欲に大きな影響を与えます。不動産会社では、プロのカメラマンによる写真撮影やホームステージングなどのサービスが提供されているので、そのようなサービスを利用することも検討してみましょう。

<内覧>

広告を見て物件に興味を持った購入希望者は、ほとんどの場合その物件を実際に訪れ、自分の目で物件の状態を確認します。売主としては、掃除・整理整頓はしっかりと行い、水回りやクローゼットの中、ベランダなど、どこを見られてもよい状態にしておきましょう。また、事前に換気をするなどしてにおいにも気をつけておきましょう。さらに、購入希望者にとっては、どのような人から買うか、ということも重要なポイントの一つになります。購入希望者は笑顔で迎え、誠実な対応を心がけましょう。

ポイント5 不動産会社探しは一括査定がおすすめ

ポイント5不動産会社探しは一括査定がおすすめ

さて、ここまでマンション売却の流れ、売却に必要な準備や費用、注意すべきポイントなどをご紹介しました。このような知識を事前に持っておくことは非常に大切ですが、不動産売却が成功するかどうかの鍵を握るのは、売却を二人三脚で進めるパートナーとなる不動産会社の選択です。というのも、不動産会社によって得意分野や経験が異なり、それが売却価格や売却にかかる期間などに影響を及ぼすからです。

数多くある不動産会社の中から最適な業者を見つけるには、オンラインで依頼できる一括査定を利用するのがおすすめです。必要項目を入力すれば、複数の不動産会社に同時に査定を依頼できます。各不動産会社から査定額が出されたら、サービス内容や担当者の実績や人柄なども併せて比較検討し、心から信頼できる不動産会社を見極めましょう。

マンション売却に関するよくある質問

最後に、マンション売却の際によくある質問を見てみましょう。

Q. マンションが売れやすい時期や季節はありますか?

一般的には、転勤や入学などで人の移動がある1月〜3月、9月〜11月に不動産市場が活発になります。他にも、新築マンションが値上がりしているときは中古マンションの購入に意欲的な人が増える傾向にあります。また、マンションの共有スペースや外壁などを修復する大規模修繕の直後も売り出すチャンスです。このようにマンションが売却しやすい時期があるのは事実ですが、無理にその時期に合わせて売却しようとする必要はありません。重要なのは、自分の置かれている状況や売却の事情などに合わせて最適な時期を選択するということです。

Q. 売却か賃貸に出すか迷っています。どちらがいいですか?

マンションの場合、将来もう一度居住する可能性がなければ売却をお勧めするのが一般的です。しかしながら、住宅ローンが完済されているのであれば、賃貸に出すのも一つの選択肢としてあります。賃貸に出すかどうか迷う際は、マンションの維持管理費や管理会社への手数料、税金などの支出、空室リスク、収益物件として一定期間保有した後の売却方法などを考慮に入れた上で判断しましょう。

Q. 売却する前にリフォームしたほうがいいですか?

一般的には、リフォームの必要はありません。というのも、リフォームしたからといって高く売れるとは限りませんし、中古マンションの買い手は購入後にリフォームすることを前提にして物件を探すケースが多いからです。ただし、壁や床に傷があったり、ドアノブが壊れていたりする場合は、最低限リフォームすることで印象をよくすることができ早期売却につなげられる可能性もあります。

Q. 築年数が古いマンションでも売却できますか?

築年数が立っているマンションでも、そのマンションに合った戦略を立てることで売却につなげることができます。購入後に自分たちでリフォームしたい人をターゲットにしたり、リフォームしない分売り出し価格を低めに設定したりと、色々と工夫できることはあります。また、中古マンションをリフォームして売り出すことを目的とした買取業者も存在します。買取価格は市場価格の7〜8割程度が目安になりますが、仲介手数料もかからず短期間で決済できるため、選択肢の一つとして覚えておくとよいでしょう。

Q. ローンを滞納していても売却できますか?

住宅ローンの滞納が続くと、金融機関からマンションを差し押さえられ、強制的に競売にかけられる可能性があります。法的手続きである競売による売却を避けるための手段として「一般売却」もしくは「任意売却」でマンションを売却してローンを返済する方法があります。

「一般売却」とは、住み替えや相続、転勤などを理由として、不動産所有者の意思で行う売却のことです。売却によってローンが完済できそうであれば、この方法が最も金銭的なダメージが少なくなる方法と言えるでしょう。

一方、「任意売却」とは、売却代金や貯金などを合わせてもローンを完済できる見通しが立たない場合に、債権者である金融機関の同意を得てマンションを売却することを言います。不動産を売却する場合、本来ならば、引き渡し時までにローンを完済してローンの担保としてマンションに設定されている抵当権を抹消する必要があります。しかしながら、任意売却では、売却によるローンの完済が見込めない場合でも、債権者に了承が得られれば一定条件のもと抵当権を解除してもらうことで売却ができるようになります。

任意売却や競売となると、社会的にも金銭的にもダメージが大きくなっていきます。そのため、住宅ローンの支払いが厳しいと感じているのであれば、滞納してしまう前に手を打っておくことが非常に大切です。まずは、なるべく早い段階で借入先の金融機関に相談しましょう。

まとめ

今回は、マンション売却の流れを中心に、マンションの売却を成功させる上で押さえておくべきポイントをご紹介しました。不動産を売却するということは、一般の方にとっては一生に一度あるかないかのビッグイベントです。満足のいく取引ができるよう、上記の5つのポイントを抑えながら売却を進めていきましょう。

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